ハンガリー医学部生のブログ

日本の高校→ハンガリー医学部 入学方法から内部事情まで教えます

ハンガリー医学部の教育レベル

ハンガリー医学部はレベル高い?低い?

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ハンガリーなんていう東欧の小国で勉強したような学生が、将来医者になって日本で働かれたら困る

そんな意見を何度かネットで目にしたことがある。

 

この記事を読んでくださっている方の中にも、実際ハンガリー医学部の教育内容はどの程度の質であるのか、ということが気になっている方も多いのではないかと思う。

 

そんな訳で今回は、ハンガリー医学部の教育レベル、と題してその内容やクオリティについて書いてみたい。

私なんかが書くのはおこがましいのだが、先輩方から聞いたお話や、日本政府によって調査された際の論文などを参考にしながら、恐る恐る書こうと思う 笑

 

世界的に認定されたハンガリー医学部の教育システム

ハンガリーの医学部教育はハンガリー認証評価委員会(Hungarian Accreditation committee:HAC)によって審査、認証されている。

またそのHACの認証プロセスは、アメリカの外 国医学教育認定委員会(National Committee on Foreign Medical Education and Accreditation: NCFMEA)による審査を受け,アメリカの医学部と同等レベルであると認定されている.

 

よって、ハンガリーの医学部教育は、国際的に見ても水準を満たしていると言える

一方、日本では2023年問題が取り沙汰されるなど、医学部教育が世界水準を満たすための改革が行われている最中であり、日本の医学教育の方が圧倒的に優れている、などとは言えないのではないかと思う。

 

では次に実際のハンガリー医学部のカリキュラムについてみていこう。

 

ハンガリー医学部のカリキュラム

 

ハンガリー医学部では、6年制を採用している。

高校卒業、または同等の資格があると認定を受けたものが入学でき、年齢の上限は無いとされている。ただ、50代の学生はいるが、60代以上の学生は私は見たことがない。

 

1,2年次は、解剖学、生理学、生化学などの基礎医学を集中的に学んでいる。

それぞれの科目について、学年全体で受ける講義だけではなく、10〜15人程度のグループ毎に実習の時間が設けられている。

講義の質は完全に各週の担当教授次第で、基本的にあまり斬新さはない。ただスライドを読み上げる教授や、低クオリティのスライドを創り上げる教授もいて、テストに向けては各自が参考書などを使って自習する必要がある。

ただ、ほとんどの教科において、先輩方から踏襲される虎の巻的なまとめノートがあり、それをインターネットで調べながら、必死で覚えていくことになる。

 

実習の質も担当教授によるものの、日本での高校時代の授業よりもかなりアクティブな授業だと感じる。

解剖学の実習では、とても検体数に恵まれ、例えば心臓が10個近く入ったバケツが各教室にある。実際に解剖することはメインでなく、様々な角度から解剖されたあらゆる臓器を何個も観察して、とても細かい部分まで実際触れながら学べるのでとても有意義な実習である。

その点は、2、3人で1体の検体を解剖して終わり、という日本の解剖学とは、主旨がかなり異なる。

一学年250人強の生徒に対し、生理学のデパートメントだけでも20人近い教員がいるらしく、そのおかげで全教科において少人数の実習が行えるので、教員数の割合という意味ではとても恵まれた環境にいると思う

教員数に恵まれているおかげで、中間・期末試験がほぼ全教科において口頭試問で行われる。20〜30分かけて教授にかなり深いところまで突っ込まれるので、学生にとっては厳しい面もある。だが相当勉強した上で合格、進級できることになるので、卒業生の質は確実に向上するのではないだろうか。

 

1年次から既に病院での看護研修があり、早い段階から患者と接する機会がある。ただ、人によっては採血などをさせてもらえる事もあるが、基本は毎日ベッドメイキングと食事の配膳をするだけで終わるので、この実習が正直そこまで意味があるとは思えない。

 

3年次から臨床医学が始まり、ここでも講義に加えて少人数での病院実習が行われる。医師の指導のもと、実際に患者と対して学習するようである。

大学附属病院が都市全体を管轄する病院となっていて,日本と比べて病院あたりの患者の数や手術数がとても多い。そのため学生が実習する環境としては十分であると言える。

関連病院での実習もあり,救急医療などに触れる機会もあるようだ。

4、5年次の外科実習などでは学生が手術の第一助手を務めることもあるらしく、また6年次には1年間を通じて臨床実習が行われる。 

卒業前に長時間かけて幅広い経験を積むことができ、とても貴重な環境だと思う。

 

 

まとめ

確かにハンガリーは日本と比べるとまだ経済力は劣るため、最新の医療機器の数は少ないかもしれない。

だが、学生の立場で学ぶ上では、理不尽なことや、厳しいことも多いものの、教育の質にかなり恵まれた環境なのではないかと思う。

病院での実習は、希望者は日本や欧米諸国でもすることができ、学生のうちに様々な環境での医療に触れることができるのはとても貴重な経験になるだろう。

加えて、医学部に入ってから、ここまで必死に勉強してまで本当に医師になりたいのか、と自問し、努力を続けた学生が最終的に卒業することになるので、卒業生の医師としてのモチベーションはとても高いと思う。

  

なので、みなさんがもしハンガリー医学部卒の医師に会う機会があれば、人一倍努力して医師になった先輩方に、ぜひ安心して身を任せていただきたいです!

 

今回の記事を書くにあたっては、こちらの論文を参考にさせていただきました!

www.jstage.jst.go.jp

 

また長くなりました 笑

なにか医師として新しいことに挑戦したい人や、医師になれるチャンスが欲しい人には、ハンガリー医学部をぜひ一度考えてもらいたいです^^

読んでくださった方の参考になれたら嬉しいので、ご質問、コメントなどありましたらお待ちしてます!

 

*コメントいただきありがとうございます!

質問コーナーにコメントの返信を追記させていただいてます:)

ハンガリーでの生活事情編はそのうち書きたいです

いま絶賛中間テスト中なもので、、、

 

hungary-medstu.hatenablog.com